MRIとは?

Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴イメージング)の略で、人体の組織に豊富な水分を利用して、水素プロトンの核磁気共鳴現象から画像をつくります。

非常に強い磁石(静磁場:当院では1.5テスラ)とプロトンに共鳴する周波数の電波(ラジオ波)を用いることにより、さらにX、Y、Zの3方向の傾斜磁場を切り換えることで人体のあらゆる方向の断層面の撮影が可能となります。当院はキヤノンメディカルシステムズ社製 Vantage Orianを使用しています。

 

MRIはなにを検査しますか?

全身の部位の撮影ができますが、特に頭部や脊椎、関節などに優れています。たとえば脳梗塞、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳動脈の狭窄や、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、靭帯損傷などの診断に有用な検査ができます。また、女性骨盤(子宮筋腫や子宮頚がん、子宮体がん、卵巣腫瘍など)の診断に有用です。その他、肝臓、腎臓などの精査や大血管の狭窄や動脈瘤の描出などに活用されています。

MRI検査を受けるにあたっての注意点は?

MRIで使われる磁石や電波は、普通の場合は人体への影響はありません。ただし、次のような方はMRI検査を受けられない場合があります。

  • 心臓ペースメーカーあるいは他の電子装置が埋め込まれている方。
  • 体内に脳動脈クリップや人工関節などの金属が埋め込まれている方。
  • その他、体に金属片が入っている方。
  • 妊娠されている方、もしくは妊娠の可能性のある方。
  • 閉所恐怖症など狭いところが苦手な方。(装置は構造上狭いトンネルのような形です)
  • アートメイクや刺青をされている方。

金属類は検査の妨げになり、磁気カードや時計などは使用できなくなることもありますので取りはずしていただきます。
化粧品(マスカラなど)の中には金属を含んでいるものがあるため、化粧を落としていただくことがあります。

MRI検査中は

検査時間は通常25~55分ほどで、X線を使用しないので被曝の心配がありません。検査する部位がトンネルの中央に来るよう検査ベッドがゆっくり装置の中に入ります。検査中MRI装置からトントントンという大きな音(工事現場のような)がしますが、音がしている間に撮影していますので検査中はできるだけ体を動かさないでください。また、マイクを通していつでも会話ができますので、安心してください。MRI検査では、造影剤を使用しないで、血液の流れを利用して血管を描出すること(MRA)が可能です。しかし、検査時間が長いことや、体の動きの影響で画質が劣化しやすいなどの欠点があり、患者様のご理解と、ご協力が必要となります。下に示した画像が頭部のMRAです。動脈が鮮明に描出されています。また必要により造影剤を使うことがあります。造影剤は、血管(静脈)から投与するものと、経口で投与するもの(飲み薬)があります。これらは副作用が少ない医薬品ですが、喘息の既往のある方や薬のアレルギーなどがある方は、あらかじめお申し出下さい。

→CT検査のページにCTとMRIの比較が載っていますのでご覧ください。