院長あいさつ


院長 中島 浩一郎

なだらかな中国山地の山々を見渡す高原の町、庄原市。桜並木の春、田園風景がまぶしい夏、山容が紅黄に色づく秋、雪景色の冬。四季折々の美しい自然に恵まれた、この庄原市唯一の総合病院が、私たちの庄原赤十字病院です。

病院の歴史は、大正14年に地元の篤志家により、組合立庄原病院として創設されたことに始まります。昭和18年に日本赤十字社に移管され、現在にいたっております。その間、戦時中には陸軍病院も併設され、昭和20年8月6日の原子爆弾の被害にあわれた方々の救護にあたったことを、記憶しておられる方も多いことと思います。

今日では、地域の急性期医療を担う中核病院として、特殊な疾病を除き、広島市内の大病院と同一のレベルを目指した医療の提供を、行っています。また、二次救急医療指定病院として、年間8,000件を超える救急患者に対応するとともに、健診事業、健康教育にも力を注いでいます。地域との連携としましては、行政や医師会と力を合わせ保健、救急、感染などの問題に取り組んでおり、一層充実した対応ができるよう、職員一同、日々地道な努力を重ねています。

赤十字の重要な使命の一つに災害救援がありますが、当病院も阪神淡路や東日本大震災の際には、医療チームを派遣しております。赤十字が基本理念として掲げる「博愛」と「人道」の精神は、私たちの目指す医療の根幹をなしています。一言でいうならば「思いやり」の医療です。苦しみ痛みを受けとめ、喜びを分かち合うことに始まる医療です。これは、職員一人ひとりが、心をこめて真剣に患者さんに向き合って、初めて生まれるものであり、医療者のプロフェッショナリズムの核となるものです。現在、地域の医療は厳しい状況におかれていますが、皆さまに支えられて、地域の命を守る「灯」となる病院、あたたかく心の安らぐ病院と、市民の皆さまに信頼していただけるよう歩み続けてまいります。